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企業と産業遺産

先日聞いた話によると
東京急行電鉄(東急)でほぼ原形に復元されて保存されていた
「5001号」
という電車が、車体を2/3に切断短縮された上、台車など下回りを
取り払われて渋谷駅前に「青少年育成の・・・云々」の目的で設置
されたという。

もちろん早晩朽ち果てるであろうことは容易に想像が付く。

一般人には特に何と言うこともないことだが
東急ファンにとっては
とんでもない滅茶苦茶な大事件
である。
いや、遠い関西から事件を知った
「東急ファンじゃないけど”鉄道愛好家”のダンナ」
にとっても噴飯ものであった。
大体、トップナンバーだからと言って
上田交通から引き取ったものである。

■東急5000系
東急車両史というより日本の車両史において
車体構造や駆動方式に革新をもたらした電車。
東急から引退後も地方の私鉄数社に譲渡され
活躍したが、全て引退するのも時間の問題。

これとは別の話。
大阪は吹田のJR西日本研修施設に保存されていた
蒸気機関車C59の166号機が
その保存場所に
「福知山線脱線事故の記録保存施設」を建設するため
邪魔になったということで
先日スクラップにされた
という。

■C59
C53の後継機として開発された2シリンダーの大型機。
東海道本線などで花形として優等列車を牽引した。
C62登場、電化の進展後はローカル線への転用が難しいために
早くに大部分が引退・改造された。
保存はわずかに4両。166号機はそのうちの1両である。

この2つの事件の意味するところは何か?

東急5001にしてもC59166にしても
失えば二度と戻らない産業遺産であり
確かに一企業の所有物ではあっても
日本の産業史に与えた意義を考えると
公共性や社会性の上で
企業の論理で
勝手に処分することは許されないのではないか?
と、ダンナは考える。

せっかく2006年の今日まで残っていたのであるし・・・。

何にでもカネがかかることは分かっている。
利益の出ないことにカネを使うのは
株主にとっても利用者にとっても従業員にとっても
背信行為であろう。

しかし、である。

自分たちの歴史、技術の歴史、ひいては日本の歴史の
ある意味で生き証人を残すことは
それこそ
「美しい国、ニッポン(あほか)」
の第一歩ではないだろうか?

もちろん、ダンナは
鉄道車両を残すことを主張しているわけではなくて
何か全体として
日本の企業論理だの意識だの教育だの道徳だの
その他もろもろの最近の傾向も合わせ

一事が万事

だといっているのである。

東急もJR西日本も、そして他の多くの企業も分かっていない。

文化は多分、
そういうところから測られるのだ。

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コメント

今の日本がどのように出来上がってきたのか
映像や書籍で記録を残すことも良いでしょう
でも、技術史においては現物を保存することも大切だと思います
ヨーロッパの国々の博物館事情を見聞きすると、とてもうらやましく思うのです
「技術立国」なんて言ってる国であれば、残しておかなければならない物は多いはずです。。

投稿: 二枚橋 | 2006年11月23日 (木) 21時52分

二枚橋さま>
全く同感です。何かこう技術に長けた方
例えば職人さんの社会的地位の低さも
感じたりします。
日本を支えているのはこうした方であって
決して株長者ではないわけで、株長者に
なれたのは日本の信用度すなわち職人さん
の技術の裏付けなんじゃないかと
思いますが。

東急とJR西の件
元々無くなる運命にあったものなら
ともかく
せっかく一旦はきれいに保存してあった
ものを「わざわざ」壊すことに
社内の「反鉄道派」みたいな役員が
力を得たのかな、と勘ぐったりします。
いずれにしても程度の低いことで・・・。

投稿: いぶきダンナ | 2006年11月24日 (金) 21時28分

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